トップ 開催レポート 第12回 越谷教室 (埼玉) 講師インタビュー・受講者の感想
第12回 越谷教室 (埼玉)
講師インタビュー
- 屋鋪 要(やしき かなめ)氏
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三井ゴールデン・グラブ野球教室も12回目になりました。継続して実施しているということには大きな意味があって、1、2年で止めてしまったら、「そんなのがあったな」ぐらいで終わってしまいます。次の世代に野球を伝えられる機会はとてもありがたいし、幸せなことです。今後も長く続けていってほしいと思いますし、そのために、開催時期の春と秋はスケジュールを空けています(笑)。
今まで開催した場所以外でも、野球が好きな地域はたくさんあるので、今後も色々な場所で開催していただきたいと思います。この野球教室に特別協力をしているWCBF(一般財団法人世界少年野球推進財団)は47都道府県すべてで野球教室を行っているので、それを目標に全国で実施できるといいですね。
初回から比べると、連係プレーなどを取り入れたり、内容も充実させてきました。守備は守るだけのシチュエーションでは見えてこないものもあるので、もっと実戦に近づけたゲーム形式で、ランナーがいたりするとより面白くなるかもしれません。実践する中での動き方の指導もできますし、特に外野手は、ノックではなく、試合のつもりで一球一球に集中して打球を追いかける方が上達します。
この野球教室以外に、子ども向けの教室にもよく行っていますが、例えばキャッチボールはなぜ基本なのか、子ども達はそこまで教えられていないですね。基本の理由を理解させなければいけないし、指導者は理解させるだけの知識を持たなければいけません。この野球教室では、その教え方のヒントを伝えているつもりです。
また、指導者の方にお願いしたいのは、子ども達にすぐに結果を求めず、少しずつ積み重ねながら計画的に教えていってほしいということです。そして上から目線で押さえつけるのではなく、野球の楽しさを伝えてあげて欲しいと思います。
もちろん、守備にも楽しさはあります。私は守備に自信があったから、難しい打球を捕ってピッチャーから「ありがとう」と言われると快感でした。表向きは「自分の仕事をしただけ」と涼しい顔をしていましたが(笑)。守備で得られる楽しさは絶対にあるので、子ども達にもぜひ味わって欲しいですね。
- 宮本 慎也(みやもと しんや)氏
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指導者の方たちは子どものために時間を使ってくれて、この三井ゴールデン・グラブ野球教室で教えていても、非常に熱心だと感じます。野球界にとって非常にありがたい存在で、だからこそ正しい知識を身に付けて欲しい。今は色々なところから情報を集めることができますが、正しいものもあれば、誤っているものもあるので、そこを我々が整理して、正しく伝わっていけばいいと思います。
時代に応じた指導法というのもあるでしょうし、今は昔のように、あまり厳しくしてもダメ。ただ、私は挨拶や声を出すことなど、一般の生活でも大事なことに関しては、多少厳しくしてもいいと思っています。いずれにしても、まずは野球が楽しいものだとわかってもらうことが大切。厳しさとやさしさのバランスを取りながら教えていって欲しいと思います。
子どもの頃は、出来て当たり前というプレッシャーもありますし、守備はあまり楽しく感じられないかもしれません。正直なところ、バッティングの方が楽しい(笑)。ですが、やればやるほど上手になるので、自分なりの楽しみを見つけることはできると思います。私自身、高校生になったときに、3年生の先輩に「お前は守備がうまい」と言われて、はじめて守備のことを自覚して、だったらそれを伸ばそうと練習しました。練習を重ねて経験を積めば、思い描いたプレーができたりするし、「うれしい、楽しい」という感覚も出てくると思います。
楽しいという面から子どもに守備を教えるのは難しいかもしれませんが、守れないと試合に出られない、ということは言えます。打てる、というだけで試合に出られる人は多くありません。やはり捕れる、投げられるということが重要。プロでも、打つだけの選手は打てなくなったら外されますが、守りがよければ我慢して使ってもらえるし、試合に出ることができます。楽しいバッティングができる試合に出られるかどうかは、意外と守備にかかっているんです。子ども達がこの先、甲子園やプロ野球、メジャーリーグを目指したいというのなら、今は面白くないかもしれないけど守備の練習をしておくことが大事ですね。
三井ゴールデン・グラブ野球教室は、三井ゴールデン・グラブ賞受賞者という、プロの中でもトップクラスの講師たちの理論や考え方を伝え、広げていくことができるという素晴らしい機会です。受講者の皆さんは貪欲に話を聞く人が多いので、しっかり聞いて持ち帰り、役立てて欲しいと思います。
受講者の感想
- 田嶋 哲也さん、高橋 理さん(小鹿野カージナルスJr)
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指導者向けの野球教室に参加したのは初めてですが、今まで子ども達への教え方で困っていた部分を、今日の指導ではわかりやすく、どうしてこうすればいいのかという理由も含めて教えてもらえたので、とてもためになりました。
印象に残ったのは、里崎さんに聞いた「人差し指を12時の方向に向ける」という話。自分では脇を締めろという言い方をしていて、うまく子どもが実行できず悩んでいましたが、こういう言い方をすればいいのか、と気付かされました。また、宮本さんが仰っていた「グラブの芯で捕る」ということの意味を聞いて、キャッチボールの時からそうした意識を子どもに持たせて教えることが大切なんだな、と感じました。
講師の先生たちは話し方も上手で、参加できてよかったと思います。指導者向けの講習といっても講義だけではなく、実技をやれるというのがよかったですね。子どもに教えるにしても、自分が経験していないと伝えられないこともあります。今日経験したことを、今後活かしていきたいです。
- 藤本 和之さん、西岡 省二さん(間久里スネークス)
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キャッチボールの足の方向や、内野手のボールに対する身体の入り方、外野手の捕球など、すべてが勉強になりました。ケガを防止するための講義もとてもよかったです。これまで半信半疑で行っていたような指導も、実績のある元プロ野球選手にわかりやすく教えてもらえて、今後は自信を持って子ども達に伝えていけます。
講師の先生方は、質問に対して、こちらが聞きたかったことに的確に答えていただけて大変満足しています。今日改めて基本を学んで、自分たちの指導が間違っていなかったというのを再確認できたことは大きな収穫ですね。また機会があれば、ぜひ参加したいと思います。
- 荒木 憲一さん(五小ファイターズ)
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子ども達には、理屈はわかっていても伝えるのが難しいという内容がよくあります。今日は、子ども達に教える上で、どういう言葉を使って教えてあげればいいのかという、言い方の部分も含めて指導してもらえたので、さすが少年野球指導者向けの野球教室だなと感じました。
特に、指導が難しい捕手の基本での里崎さんのお話は、スローイングのためのステップや、グラブの動かし方など、ご自身の経験で色々と考えた上でのことなので、とても実践的で参考になりました。
指導者向けの野球教室は絶対に必要なことだと思います。自分も高校まで野球をやっていましたが、もう30年も前の話なので、子ども達に教えるにはもう一度勉強し直す必要があります。しかし、勉強といっても本などの手段しかないので、こうして元プロの名手に教えてもらえる機会は大変ありがたいし、目から鱗のような話もたくさん聞けて、とてもよかったです。